サウルの息子 [Blu-ray]

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最期に主人公は少年に息子の面影を見た(=息子が復活したように思った)のだと思う。カンヌのグランプリも、アカデミー外国語映画賞も当然の傑作だった。臨場感のあるカメラワークも、起きていることの見せ方も素晴らしかった。ゾンダーコマンド以外に特に説明もないのに、彼らの行動ややろうとしていることが映像を見ただけで伝わってくる。主人公の生い立ちや性格、抵抗活動における役割も特に語られないのに、見せている情報だけでストーリーがわかり、ラストの主人公の微笑みにすべてを持っていくのが見事だ。
息子の解剖を命じられた囚人の医者に「同じような金髪の少年の死体を探してこい」と言われ準備を整えつつあったが、ゾンダーコマンドの入れ替えが迫り、暴動がはじまってしまう。主人公は息子の遺体を担いで収容所から脱出するものの、途中の川で離ればなれになってしまう。逃げる途中、森の中の小屋で仲間たちと休憩を取るが、開いたドアの隙間から金髪の少年が立っているのが見える。それを見て主人公は微笑み、カメラはそこから走り去る少年を追いかけるが、その背後では銃声がなり響いている・・・。というラストだった。
その場にいる気分になるカメラワークだった。主人公は「ゾンダーコマンド」としてナチスが虐殺したユダヤ人の死体処理をさせられているユダヤ人捕虜。ユダヤ人虐殺の詳細を秘密にするため、一般の囚人から隔離されて生活し、数か月程度で使い捨てにされる。劇中で出てくる暴動や写真の撮影は実際にあったこと。ある日主人公は収容所のガス室で死んだ息子を見つける。ユダヤ人にとって埋葬は死後の復活のための重要な儀式である。復活には肉体が不可欠なので、火葬は禁忌だ。だから必死にユダヤ教の司祭であるラビを探し出し、埋葬しようとする。
カメラが常に主人公と一緒に走り回っていて臨場感に溢れている。ちょっと江口洋介に似ている。
宗教観が無宗教のわたしには理解できなんだ。
最後のシーンが思わず息をのむ。脱走できたという綺麗な感じで終わると思っていたが..。これが現実にあったホロコーストだったのだろう。ゾンダーコマンドなんて役職初めて知ったし、虐殺があんなにも雑にそして人権を踏みにじる形で行われているなんて思いもしなかった。人の命が何なのかを戦争は見えなくしてしまうのか。戦争は全てを奪ってしまうものだ。ホロコーストのありのままをうつしきった作品。
zan
事務的に人間を部品扱いする狂った時代の狂った価値観における一途な良心。過酷な現場の作業には決して直接手を下すことはなかったナチスの非常ぶりもつくづく腹立たしい。
ホロコーストの表象不可能性をソフトフォーカスという具体的な映像に落とし込んだコンセプトの勝利か。今までなぜ誰も思いつかなかったのかというほどシンプルな発想なのだが。
ナチスによる「処理」がどんどん雑になっていくのが恐ろしい。感情を殺さないとゾンダーコマンドなんて出来ない。この映画、無茶苦茶制作費がかかっているんじゃなかろうか。
とても素晴らしい作品でした(*'ω'*) 大変寓意に富んだ脚本、正方形に近いフレームの中でのアップばかりの演出、シャロウフォーカスの多様… そして特筆すべきは「最終処分場」の描き方だ。『炎628』に学んだのだろう、前例のない異様な迫力をたたえていた
★★★☆☆ 何ともやるせない内容で沈む。ラストも容赦がない。父親の息子への愛が救い。
ガス室が英仏のプロパガンダかどうか等の歴史的な真偽はともかく、話の構成や運びや心情的なテーマの選び方が上手くて完成度が高かった。ただ好みの問題でか、期待してたほど面白くは感じなかった。映画にかぎらず小説とかでも良くあるヨーロッパ独特の虚無的な空気感というか、こうやれば洒脱でしょうみたいな雰囲気が苦手かも。
冒頭から、画面中心の人物の顔にだけピントが合っていて、周りのボカされた映像に驚かされた。公開に当たってのボカシなのかと思ったら、制作側も手法的なものということが次第に理解できた。なんともおぞましい世界なのだろう。ナチスによるユダヤ人虐殺の映像は、わたしが子供だった60年代ころには、多くのドキュメンタリーがTVで放映されていたような記憶がある。その他にも多くのフィクション作品でもみているが、この作品の衝撃度は格別だった。
ナチスによるユダヤ人虐殺を描いた作品は数多くあるけど、この映画は少し毛色が違う。同じユダヤ人の死体処理に明け暮れる陰惨な状況下の中、「息子」を埋葬することに生き甲斐を見出だすサウル。何かに取り憑かれたかのようなその姿は痛々しく、胸が詰まった。少年がサウルの本当の息子かどうかは問題ではない。死んだ人間の命を尊び、その魂を手厚く葬ることによって、安らぎや救いを得ようとしたのではないか? 信仰心とは、彼にとって命よりも大事なものだったのかもしれない。その人の心だけは、誰にも奪うことはできないのだから。
自由を得るために戦う、人間をパーツと呼び信仰と反する形で体や魂を損なう行為から子供を救う(たとえそれが死者であっても)、そうして人としての尊厳を守るという信念が、形は違えど物語を通して一貫していてよかったです。
アカデミー賞映画だいすきなわたしとしては、きっと外れないと思い観た映画。これまで観てきた戦争映画とはまたひと味違う。サウルの始めから険しく、どこか死を覚悟しているような表情。基本的に終始変わらないのに、最後になるに連れて、目に光が灯ってきてなんだか苦しくなった。音楽がないのと、画面比率がグザヴィエ・ドランみたいに四角よりだったから、すごく見入ってしまった。映画評論家の町山智浩さんのブログ解説、非常に分かりやすかったです。サウルの一貫した表情とか、不可解なところの謎が解けた。
ユダヤ人強制収容所内のユダヤ人協力者の一人の視点から彼らの非日常的日常を描いた映画。最初から主人公のみにピントを合わせるか、主人公の目線から状況を映しだすことによって、彼がいかに視野を狭めて周りからの影響を最小限にし、自身を無感覚にしようとしているかが伝わってくる。しかしそんな彼の視野の中にガス室を奇跡的に生き延びた少年の姿が飛び込んでくる。これによって彼に「人として生きる」というスイッチが入ってしまう。これ以降の彼の行動は、無意味とも見える反面、最終的には彼の人間性の肯定へとつながっていった気がした。
今までとは全く違う収容所の描かれ方に想像力をかきたてられた。 とても重い。救いがなく何も持てない人間の究極の生きざまになんともやるせない脱力感に包まれました。
解像度が高いだけになんとも恐ろしい。正しく息子を弔ってやる。宗教の重さは計り知れない。
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